新年の杯を交わす場面。
信虎は一番最初に次男・信繁に杯を授ける。
これは武田家の家督を長男・晴信ではなく次男・信繁に譲るという意思の表れ。
そして晴信には駿河で暮らすことの強要をほのめかす。
そこで晴信は父・信虎に対し謀反の企てを決心する。
水害に悩まされる甲斐ではその年も飢饉にみまわれるなか、度重なる信濃出兵で民の不満も募ってくる。
甲斐にとっての脅威である水害を信虎に重ねての排除への決意。
その川を見つめながら武田晴信の一言。
『上善 水の如し』
もともとこの言葉は老子の言葉であり、
『水というものはどんな器にも入れられる変幻自在な物質であり、常に高いところから低いところへと流れていくものである』
ということを意味する。
言い換えれば相手に合わせていかようにも対応できる柔軟性を持つものである。
また時としてその破壊力は堅固な大岩をも粉砕する力も秘めている。
自分にとっての大岩である父・信虎に対して変幻自在の柔軟性で立ち向かおうとする決意をこの一言に込めていると捉えるとその心情の奥深さを伺うことができる。
目前の壁を乗り越え、甲斐の未来を想う若き青年の言葉として非常に印象深いシーンであった。
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